やまぐち高校生ICT活用コンテスト2021デジタルアート部門に出品した、美術部員の作品を紹介します。
高校1年 関谷光太郎「無題2021」
蒸気機関車が爆音を立てながら、月に向かって激走していく。その迫力は、圧倒的な存在感を生み出した。車内からあふれ出る光は機関車に乗せている夢や希望を表し、吐き出す煙は一心不乱に努力を重ねてきた足跡を表す。大成するのはまだまだ先ではあるが、たとえ気が遠くなるほど遥かな道程であっても、きちんと明るく照らされ、導かれている。
高校2年 祝部日向子「本」
本に囲まれた空間は人を空想の世界に導いてくれるが、まっすぐに前を見据えた少女の目は、そんな世界だけではなく、現実世界も決して見逃さない。また、背後に飾られた蝶の標本が暗示するように、少女の世界は知識に裏打ちされた確かなものでもある。少女の髪は、それら全てを包み込み、絡み取り、少女を大人へと育てる肥料となるのだ。
高校2年 森渚紗作「無題」
学校帰りに誰かに電話をかけている少女の物憂げな表情からは、様々な感情が読み取れる。今日一日の疲れがどっとあふれ出る帰り道、悲喜こもごもの出来事を振り返り、安堵しているようにも悲しんでいるようにも見える。そんな不安定な心情を、一刻も早く愛する誰かに打ち明けたい。年頃の娘が抱えがちな日常の一瞬を切り取った作品である。
一貫5年 住江和奏「五重塔〜ランタンとともに〜」
韓国では、釈迦の誕生日とされる旧暦4月8日ごろに毎年ランタンフェスティバルが開催されている。火を灯したランタンに願いを書いて空に飛ばすと、願いが叶うという。もし日本にも同様の祭りがあったら、五重塔を背景に幻想的な世界が生まれるに違いない。高校生である作者の願いも、その美しい夜空を飛ぶ。